観光ガイドを見ると、沖縄には全島各地に様々なパワースポットが存在しています。その中でも、歴史や由来を聞かされると、無意識に手を合わせてしまうような場所がいくつもあります。
神の島だからこそ…
沖縄の国生み伝説といえば、イザナギとイザナミが登場する神話が有名ですが、沖縄では、この2柱の神より、はるかに有名な神がいます。それが、アマミヤとシラミキヨ。
何しろ、この2柱の神が最初に降り立った場所が「久高島」であり、ここから琉球の島々を作り上げていったといわれています。
ですから久高島は、沖縄の自然崇拝の象徴ではあるのですが、それ以外に2柱の神が作ったとされる聖地が、今でもパワースポットとして受け継がれています。
この久高島を沖縄本島から眺める事が出来る場所の一つに斎場御嶽があります。斎場御嶽もまた有名なパワースポットで度々メディアに取り上げられています。斎場御嶽についてはこちらで紹介されています。
首里城は今も昔も王道のパワースポット
沖縄を語るなら、避けて通れないのが「首里城」の存在。
何しろ、琉球王朝時代から現在に至るまで、常に存在感を発し続けてきたのが首里城です。しかも、山や岩、木々など、すべてのものに神が宿ると考えられてきた沖縄では、神への祈りそのものも政(まつりごと)でした。
そんなわけですから、首里城には、場内の至る所に「祈願所(沖縄では「うがんじゅ」といいます)」や「聖域」が設けられ、国王と巫女の頂点である「ノロ」とともに日々祈りをささげました。
国王とノロが祈りをささげた場所なので、どれも貴重な聖域ではあるのですが、中でも「首里森御嶽」は最も格式が高いといわれています。
ただし、実際に間近で見ると、石垣で仕切られた小さな箱庭のような感じにしか見えません。しかも、この場所は特に位の高い神様がいらっしゃるそうですから、中に入ることはできません。ご注意を!首里城へ観光を検討されている方はこちらのサイトで首里城の見所を事前に確認して行かれるとよりよい観光になるかと思います。
本気で沖縄のパワースポットを廻りたいのなら
今でも、「ビンシー」と呼ばれる専用の道具をもって、祈願所と呼ばれる聖地で祈りをささげる姿を、街のあちこちで見ることができます。そんな沖縄には、昔から聖地巡礼が盛んにおこなわれており、廻る順番も決められています。
それが、「東御廻り」です。
東御廻り(あがりうまい)
沖縄では、太陽が昇る東を、神が住む「ニライカナイ」の方角と考えています。そのため、首里城を拠点に東側に位置する聖域(御嶽)を巡礼するのが、古くから伝わる沖縄の聖地巡礼といわれてきました。
この聖地巡礼は、もともとは国の平和と安泰を祈願するために国王が行うものでしたが、徐々にこれが士族・庶民へと広がり、現在まで受け継がれています。
東御廻りで見ることが出来るパワースポットとは
東御廻りは、門中と呼ばれる士族の流れをくむ一族毎に、順路や作法に多少の違いがあります。いずれの場合も、首里城に隣接する「園比屋武御嶽(すぬひゃんうたき)」から出発する点は共通しています。
パワースポットだからやってはいけないこと
沖縄では、御嶽と呼ばれる場所で神に祈願をする自然崇拝が、今でも根付いています。これらは、神社仏閣のように祠が作られている場所もありますが、自然の岩や石・木々をそのままの形で祀っていることもよくあります。
そのため、最近問題になっているのが、パワースポットでの写真撮影です。
たしかにこれらの場所は、神秘的な雰囲気を持つものも多く、絶好の撮影ポイントであると感じるはずです。でも、あくまでもそこはウチナンチュにとって、神様が宿る聖域であると考えられています。
ですから、「むやみに石垣に登る」「石や岩を持ち帰る」「勝手に移動させる」などはしてはいけません。
もちろん、御参りをしている人を無断で写真撮影することもNGですよ。
もっと簡単に神様とつながれるパワースポットがある
普段から何かと神となったご先祖様への祈りを欠かさない沖縄では、わざわざ出かけなくてもすぐに神様とつながることが出来る場所があります。
しかも、その場所は、どの家庭にもあります。
それが、「台所」!
なんと、沖縄の台所には、「ヒヌカン(火の神)」と呼ばれる神様が住んでいます。しかも、ヒヌカンに手を合わせてお願いするだけで、親切なヒヌカンは、自分よりも偉い神様にわざわざ願い事を報告してくれます。
ところが、ヒヌカンはとても融通の利かない神様でもあるらしく、いいことだけでなく、悪いこともすべて上の神様に報告してしまいます。ですから、沖縄の女性は、普段から何かあるたびに、台所に祀られたヒヌカンに手を合わせます。
ちなみに、台所に小さな香炉が置かれている場所が、ヒヌカンを祀っている場所になります。意外と便利な神様なので、見かけたらこっそり手を合わせておきましょう。
水平線の向こうが本当のパワースポットらしい
沖縄では、珍しい動物や亜熱帯地方特有の気候などの影響もあり、街で見かける木々や草花も、本土で見かけるものとは大きく異なります。それだけに、みなさんから三でばどの景色を見てもパワースポットに感じるかもしれません。
でも、ウチナンチュにとって本当のパワースポットとは、水平線の向こうにあるといわれているニライカナイのこと。だから、海の向こうから吹いてくる潮風に、どこか心地よいパワーを感じるのかもしれませんね。